昨日今シーズンが終わった。
帝京とのリーグ最終節。ぐずついて天気の中行われた試合は先制を許すも、なんとか追いつき1-1の引き分けに終わった。
ゲーム後は涙を流す者、歓談に花を咲かせる者、写真を撮る者、様々だった。僕は4年生と話をし、いろんなことを考えながら帰路に着いた。それをぽつらぽつら記していく。
長いシーズンだった。本当に気が遠くなるほど長かった。週末のゲームが終わって、またすぐ分析、課題を洗い出して練習メニューに落とし込んでいく。戦術的な練習と今季自分が担当したB,Cチームは圧倒的にフィットネスレベルが足りなかったのでそこを補いながら、自分たちのピッチ内の哲学に即したようなメニューも取り入れて。週末が近づけばメンバーを選考し、チームの士気を自分の言葉で高めて、ゲームに挑む。この繰り返しであった。
選手たちもついてきてくれたと思う。もちろん明らかに身が入っていない日だって人間だからあったものの、コンスタントにセカンドチーム以上のカテゴリーにいた選手に関しては雨でグラウンドが使えずに、本当に狭い室内でのトレーニングを余儀なくされた時であっても自分たちの出来ることの範疇でベストを尽くす、ベストとまでは行かなくても常に90%前後のパフォーマンスを通年で見せてくれていたと思う。客観的に見て、目の前のボール、練習に食らいついていく姿勢は自分が入学してから一番良かった。
そして今季のチームには圧倒的なピッチ内での哲学があった。今までの上智が1部に挑むときは属人的な攻撃とブロック守備を基盤にした再現性は高くないリアクションサッカーを主戦術にしていた中で、今年は属人的ではない、ボールを保持しながら、再現性の高い攻撃を繰り出すことを志向するという確固たる哲学があった。スポーツ推薦がなく、身体能力が高い選手が毎年揃わない、という中でどのような選手でも技術を付けて、考えながらプレーすればどの代であっても、実現可能なスタイル。これがこのチームにとって持続可能なベストな哲学であることは明白だった。
そんな風にして挑んだ今季であったが、結果は22試合2勝6分14敗。散々だった。ファイナルサードまでは持って行けたが、そこから最終ラインを破る迫力もアイデアも足りず、相手にはウチのミスを前線のタレントに確実に決定機に繋げられた。失点を重ねる試合も多かった。皮肉なことに個の力に頼らないようなサッカーを志向したのに、圧倒的な個の前にひれ伏すしかなかった。
悔しかった。切実に。週2日は土での練習を余儀なくされ、芝の練習場が使える日も時間は早朝、さらに授業で全員がそろうことなんてなかった。そんな中でなんとか自分たちの哲学をピッチ内で表現しようと必死こいて考えたベストなやり方を模索したはずだった。そこに妥協はなかったと思う。
ただまったく届かなかった。あんだけやったのに、なんでだよ、っていう思いがあふれた。
今年のチームはずっと成長し続けた。できることも試合ごとに増えていった。ただ1部で勝つためには今年の成長スピード、成長幅では足りなかった。それが答えだと思う。残酷だけど今年1年やってきたことではまったく足りなかった。
持てる力を全部出すだけではなくそれ以上に自分で自分にプレッシャーをかけて気持ちのいいプレーをしないこと。できないことから逃げずに挑戦し続けること。南出君が口酸っぱく言い続けてきたこと。少なくともトップチームの選手たちは僕の目に映る限りでは今まで見た上智大学サッカー部史上、一番自分にストレスをかけながらサッカーをやってきた。でも散々言うように足りなかった。もっともっとストレスをかけ続けなければいけなかった。
そして最初に掲げた「Bチームスタートだった選手をリーグ戦のメンバーに複数人定着させる」という目標も達成することはできなかった。リーグ戦のメンバーは良くも悪くもかなり固定されていた。これによって成熟度が増した、との見方もできるが、B,Cチームの指揮官としてリーグ戦メンバーに新たな競争を与えることを目標としてた中で、悔しい結果だった。チーム状況が悪いときにそれを打ち破るのはニューカマーだ。連敗中のチームの停滞感を打破するような選手を作れなかったのは自分の責任以外何物でもない。
正直まだ本当に悔しい。来季のことをまっさらな状態で考えることはできていない。ただピッチ内外ともに成長のスピードと幅と密度を上げなくては勝てない。そこをはっきりと痛感した1年間であった。
そして最後に4年生へ
僕が学生コーチとしてB,Cを見るにあたって4年生に求めたことは「何があってもAを目指すこと」であった。
この部活はことB,Cチームになると4年生で練習をしなくてはいけない、つまりAチームに行く権利を捨ててまで、B,Cチームでプレーすることを選ぶ選手が必ず毎年いた。もちろんそういう立ち回りをしてくれた先輩には頭が上がらないが、自分はその文化を本当になくしたかった。4年生である前に1フットボーラーであるはずだ。なぜトップに行こうとしないのか。このチームが強くなるためには、ここを変えなくてはいけないところだと思った。
だから毎ゲーム前に必ず言った。
「B,Cの公式戦で勝つことは目標ではない。君たちの目標は上のカテゴリーに行くことだ。その目標を設定した時に一番近づく手段が今日のゲームの勝利だ」と。
カテゴリーとしてなかなか結果の出ない苦しい1年ではあった。そんな中でも必死に闘い続けたある選手が最後の最後にAチームに選ばれ10分間だけ出場した。
最後の練習で今年の部活で嬉しかった瞬間を言うメニューがあった。その時に彼はこの一年で嬉しかった瞬間を、Bチームでの公式戦の勝利でもなく、活躍でもなくそのリーグ戦に出た10分だと答えた。浮かばれるような気がした。自分がずっと伝えたかったことが伝わっていた。本当にうれしかった。
ただこの選手だけではなく今年の4年生は例年より常に上のチームを意識し、チームよりも自分が上手くなるためにプレーしていた。チームのリーダーというより全員がフットボーラーだった。ただ結果的にこのような姿勢が結果的にチームの雰囲気を締める要因にもなっていたと思う。最後まで自分の言うことを信じて、体現してくれてありがとう。全員が本当に尊敬出来て、学ばされることばかりでした。
Aチームに関しては基本的に試合時のアシスタントとして関わっていた中で、なかなかうまくなるために何かできたと胸を張って言えることはなかった。力不足でごめんなさい。ただ本当に毎週毎週上手くなるチームを見ているのが楽しみだった。そして何よりまた同じような繰り返しになってしまうけど、このチームで一番なりふり構わず上手くなってやろうと思っていたのは4年生だったと振り返って思う。キャプテン、副キャプテンだろうが、最高学年だろうが、サッカーが上手くなりたい、という気持ちをひしひしと感じていたし、なによりもそこがカッコよかった。ありがとうございました。
そして最後にA,B,Cチームのどこにも属さないトレーナーの田崎君と学生監督の南出君
には頭が上がりません。
南出君にはこのチームで指導者をやることのいろはを1から教えてもらった。圧倒的な哲学と情熱の持ち主で、僕が一生かけても構築できないようなピッチ内での哲学をすでに持ち合わせていた。隣にいる毎秒毎秒が大きな学びで、一緒にベンチに入るのが楽しかったです。足手まといだったと思いますが、本当にありがとうございました。
そして田崎君。選手を辞めて学生コーチをやるという決断を後押ししてくれたのも彼だった。そしてその後1年間全部の試合を一緒に帯同した。病める時も健やかなるときも、いつだって彼は近くにいて背中を押してくれた。選手が「田崎君がいなければチームが回らなかった」と口々に言うが、選手じゃない僕も本当に田崎君がいなければ心が折れていたタイミングが何度もあった。あなたとチームを支える立場にいれてよかったし、この決断が間違いじゃなかったと思えるのもあなたのおかげです。ありがとうございました。
さて来週からは新チームが始まる。このブログを持って今シーズンとはサヨナラだ。必ず1年後関東の舞台に行けるように。
このあとは引退ブログとなります!トップバッターは同じGKとして2年間苦楽をともにしたともきくんです!お楽しみに!