みなさんこんにちは。
全てを笑顔で誤魔化す天性の人たらし、三度の飯より九十六度のウォッカ、水原 理玖より紹介に預かりました。成蹊大学4年の杉村 悠と申します。
肩書に疑問を覚えた方は下記インタビュー記事を見ていただけると幸いです。
正直同期の引退ブログを見て圧倒されている。10年以上真剣にサッカーと向き合ってきたみんな。かたや1年半サッカー部に所属させていただいた自分。肩を並べるブログなど書けるはずもない。それでも自分が書きたいことは何だろう。考えた結果が「見聞録」。この部活をみんなに知ってほしい。他大学サッカー未経験分析官、そんな自分が見て聞いた、この部活について少しばかり記そうと思う。
入部数か月で抱いた感想は「この部活凄いな」だった。
学生が運営する組織として、本当にレベルが高いと感じた。こんなことを言うと、向上心の強い部員たちからは怒られてしまうかもしれない。だが本音だ。
まず学生運営の組織とは思えない取り組みの数々。羽鳥を筆頭に体系化された組織図の下、与えられた役割をこなすだけでなく、各人が率先して新しい分野の開拓まで進めていた。「サッカー教室」「ウォーキングサッカー」「献血活動」といった社会貢献活動の企画。コロナ禍で活動できない中でも、ピッチ外で部の価値を高めるために部員たちが思案し、行動した結果だという。
また「クラウドファンディング」「スポンサー活動」による資金調達。上智大学には芝グラがないため、有料の各地の芝グラを借りている。練習毎に数万円というお金がかかる。資金力のない部活を存続させるための活動だ。正直「?」だった。スポンサー活動なんて学生にできるものなのか…?自分が身を置いた大学剣道界にそんなものはなかった。想像すらできなかった。企業にアポイントを取り、上智サッカー部の価値とヴィジョンをプレゼンし、スポンサー契約を成し遂げる部員。驚愕だった。
加えて充実したSNS投稿にwebサイト運営。剣道界隈の化石のようなwebサイト、SNS投稿とはまるで違う。ドキュメンタリー番組のようなクオリティーをしていた。
それら全てが「史上最高の上智」という共通目標のもとに動いている。この目標を見失わない組織作りは本当に学生離れしていると感じた。
それでいて競技面においてもその目標がぶれることはない。上智はスポーツに特色のある大学じゃない。スポーツ推薦もない。そこに集まる選手の多くは大学まで日の目を浴びることがなかった選手だ。学生サッカーに爪痕を残すために、多くの選手が全力で「勝つ」ために取り組んでいる。口では自分たちのことを卑下し、「サッカーはそこそこにね」と語る部員もいた。それでもひとたび練習・試合になればその言葉が真実ではないことを見せつけた。サッカーが大好きで人一倍負けず嫌いな人間が集まる場所だった。納得のいく結果は得られなかったかもしれないが、ラストシーズンの部員たちの姿勢は今でも心に残っている。
その中でも特に印象に残った部員がいる。
主将高野陽だ。彼が口にしていたある言葉。「逆境時の振る舞いこそ、選手の価値が問われる」本当にその通りだと思う。チームが好調時に彼自身怪我で長期離脱を強いられ、出場することができたのはシーズン後半から。やっと出場した東京都1部リーグも通算成績2勝14敗6分。その間も彼のサッカーに対する姿勢に変化はなかった。早くに練習場にきて遅くに練習場を後にする。ピッチ上では誰よりも声を出してチームを鼓舞していた。怪我で離脱中も孤独に黙々とトレーニングを続けている姿は部員みんなが見ていたはずだ。逆境にあっても常に情熱をもって現状にベストを尽くし続ける。この苦しいシーズンを過ごした上智に最も必要な姿勢だったし、彼こそがそれを体現していた。彼が主将でよかったと心から思う。
そして学生監督の南出直人。彼が最終節後に「納得するまで寝ないことを自分に課してこのシーズン過ごした」と語っていた。その言葉が大げさな表現ではなく、事実に基づいた発言だということは分かった。彼は自身に厳しい。選手に要求するだけ自分にも要求していた。時折練習に混じれば、監督とは思えないプレーと闘魂を選手たちに見せつけた。彼の指導は、プレイヤーにとって厳しく、時に理不尽に感じることもあったはずだ。それでも部員たちは口をそろえて「南出は凄い」と言っていた。それは彼自身が自らを律する姿を見ていたからだと思う。私も短い付き合いではあったが、電車の帰り道、選手に共有する動画資料を黙々と選定している彼の姿は印象深かった。東京都一部リーグの重圧に耐え、「勝利」を求め献身し続けた彼を尊敬している。
正直隼太郎や大陽、颯、大心、星野、マツケン等々、印象的なエピソードを書きたい人物は多いがキリがなくなってしまうため自重する。
ここまで簡略雑然とこの部活で私が見て聞いたことを記した。結局何が言いたいかというと「この部活は凄い」ということだ。これは外部から読んでいる人だけではない。この文章を読んでくれている上智大学体育会サッカー部員にも向けた言葉だ。
自分はやりたいことが見つからず判然としないまま大学時代を過ごしていた。そんなどうしようもない大学生Aからすれば、この部活を大学生活の主軸に定め、表舞台で活躍してきたスター選手たちを相手に下剋上を目指す部員たちはこの上なく眩しかった。
部活の一員ではあったが、ある種この団体を客観視できた身分として、みんなに胸を張ってほしい。
本当に敵わないしカッコよかった。
もし入部を迷っている上智大生、また憧れのある他大学生がいるならぜひ挑戦してほしい。途中入部だっていい。プレイヤー、トレーナー、マネージャー、コーチ、分析官、それぞれ門戸は開かれているはずだ。
他者のことばかり書き、ずるい気がしてきたので自分の今後について少し。
自分は夢がなかった。なんとなく高校を決め、なんとなく大学を決めた。大学卒業後の進路も可能な範囲で終わらせ、自分を納得させた。しかし、みんなを見ていてそんな自分が恥ずかしくなった。怪我と向き合いピッチに立つ人、トップチームで活躍しようともがく人、プロを目指し海外へ渡る人、みんな全力だった。このままでは成り行きで人生が終わってしまう。焦りと徐々に肥大化する心残りから半ば強引に進路を辞退し休学した。今ではその心残りが夢となっている。漫画編集者になりたい。人生において初めて夢を持てた。結果が出るのが怖くて仕方ないが、決断への後悔は全くない。みんなのように全力で駆け抜けたい。
最後に尊敬すべき同期へ
引退ブログ書こうとしても、自分のことよりみんなのことばかりが浮かんでしまう。それだけ同期は強烈だった。意味わからんくらい個性強かった。それなりに自分は個性的な人間だと思っていたが没個性だったようだ。このブログで書いたことほぼ全てみんなのことだ。尊敬しています。
自分を迎え入れてくれてありがとう。1年半、本当に楽しかった。
P.S. 星野は家が近くなったらしいから泊まりに行こうと思う。
こんなよくわからん謎の成蹊生に良く絡んでくれた同期・後輩に感謝を、ありがとう。岩藤と新田に最後会えなかったのは心残りだ。また帰国したら遊ぼう。
次回の部員ブログは、ラスト試合の縦突破でみんなを魅了した学歴至上主義者、もとい根性の漢、長田 輝です。ご期待ください!